BtoBの営業では、1つの部署に提案してもすんなり契約が決まらないケースが多くあります。
とくに、サービス導入や支払いの決定に多くの部署が関わる企業においては、適切に横展開を進めることが重要です。
今回は、複数部署への横展開に取り組むメリットと、その進め方のポイントを解説します。
1.BtoB営業では1つの部署だけでは決まらないことが多い
BtoBの営業で一番悩ましいポイントは、「提案先が興味を持ってくれたのに、契約まで進まない」ことではないでしょうか。とくに大きな企業では、1つの部署だけが決定権を持っていない場合がほとんどです。
最初にアプローチした部署が導入に前向きであっても、別の部署の承認が必要だったり、逆に最初の部署が消極的であっても、他の部署では導入意欲が高いケースもあります。
こうした状況を見越して、最初から「横展開」を意識しておくことが重要です。
2.横展開をすることで契約に近づく理由
横展開は、複数の部署や関係者を同時に巻き込むため、導入までのステップが増えて時間がかかります。
しかしその分、複数の部署が「導入したい」「必要だ」と思ってくれるようになると、社内での決裁が通りやすくなり、結果的に契約に近づきやすくなります。
また、一度サービスを導入すると決めた部署と、サービスに対して好意的な別部署が連携してくれると、導入後の活用や追加提案もしやすくなるメリットがあります。
3.予算面のハードルを下げるためにも複数部署を巻き込む
BtoBのサービスは金額が大きくなることも多いため、1つの部署だけで予算を確保するのが難しい場合もあります。
そこで、複数の部署を巻き込むことで予算面のハードルを下げられる可能性があります。
- 大きな予算を持つ部署:企業によっては大きな予算を持つ部署があります。導入意欲が高ければ良しですが、低い場合は導入に前向きな部署とタッグを組んで、予算を多めに負担できないか、などを打診しましょう。
- 小さな予算しか持たない部署:導入に前向きな場合、予算面での制限を感じさせないように、別部署でサービスに前向きな部署はないか?を問いましょう。
4.導入を1つの部署に依存しないことのメリット
サブスクリプション型のサービスなどは、契約後も継続的に利用料を支払ってもらうモデルが多いです。
その場合、1つの部署だけに依存していると、その部署の予算カットや方針転換などで解約リスクが高まります。
横展開ができていれば、複数の部署が必要性を感じてくれている状態なので、
突然の方針転換にも強く、長期的にサービスを継続して利用してもらえる可能性が高まります。
5.効果的に横展開するためのポイント
- キーパーソンと予算を多く持つ部署を見極める
どの部署が意思決定に強い影響力を持っているのか、予算を握っているのはどこか、導入に積極的な担当者は誰なのか – これらを把握することが重要です。
また、その中でのキーパーソンを見つけることで、横展開の優先度を整理しやすくなります。 - 導入後のメリットを具体的に示す
部署ごとに抱える課題や目的は異なるものです。
それぞれの部署が「自分たちの業務にとってどんなメリットがあるのか」を明確に示すことで、
興味を喚起しやすくなります。提案の際に、複数の部署での活用メリットを示せるようにしましょう。 - 合意形成のフローを把握する
社内稟議(りんぎ)や承認プロセスなど、企業ごとに決裁フローは異なります。
どの段階でどの部署の、誰の承認が必要かを事前に理解しておくことで、話をスムーズに進められます。 - 部署間連携をサポートする
部署同士がそれぞれのニーズを理解していないと、せっかく横展開を進めても足並みが揃わなくなることがあります。営業担当者が橋渡し役となり、社内の関係者同士をうまくつなぐことで社内合意を得やすくします。 - 継続的なフォローで信頼を築く
複数部署を巻き込んだ商談では、話が長期化しがちです。そのぶん、各部署が疑問や不安を感じる場面が増えることも考えられます。こまめな連絡や追加提案で疑問を解消し、信頼を維持することが大切です。
6.追加のヒント:横展開をさらに成功させるために
- 営業側の社内体制を整える
自社の中でも、サポート担当や技術担当、契約手続きを補助してくれるスタッフなどと連携し、
クライアント企業が何を求めているかを共有するとスムーズです。 - 成功事例の活用
他社事例や同業種の成功事例を提示できると、導入イメージがわきやすくなります。
それぞれの部署に合った成功事例を使って提案の効果をアピールしましょう。 - 定期的な情報交換の場を設ける
クライアントの複数部署と定期的にミーティングを設定し、進捗状況や新たな要望を確認するのがおすすめです。こまめにキャッチアップできれば、契約までの道のりをスムーズに保てます。
【まとめ】
BtoB営業では、1つの部署だけで導入が決まるケースはまれです。
複数の部署を巻き込んで時間をかけて合意形成を図る「横展開」こそが、契約に近づく近道といえます。
むしろ、予算面や契約後のサービスの継続利用を考え、早い段階から横展開を意識して積極的に動く必要があります。
「急がば回れ」はまさにBtoB営業にも当てはまると思います。
横展開を怠らず、長期的かつ安定的な取引関係を目指しましょう。
以上、「複数部署を巻き込んで契約を勝ち取る!BtoB営業における横展開のコツ」でした。